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2015/11/24 発火ワークスイベント【後半】

予定調和なしのパネルディスカッション

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パネルディスカッション

パネルディスカッション

休憩を挟んで、いよいよパネルディスカッションがスタートです。

「ハッカソンのその先へ。組織の枠を越えた感動プロダクトの作り方」

小項目としての討論テーマは以下の3つ。

  • 感動プロダクトを作るには
  • ハッカソン後のモチベーションを持続させるには?
  • 企業はハッカソンをどう活用すべきか?
パネルディスカッション

ここからはサイバーエージェントクラウドファウンディング(MAKUAKE)の北原さんがモデレーターとして議論を進めてくれました。

MAKUAKEの北原さん

<北原> 多様な企業がイノベーティブなチャレンジをして行くにあたり、様々な困難に遭遇することが想定できる。実際にそれらを体験してきたリアルな実践者の声や智慧を活かすことを目的として進めます。

<北原>→<梶原> 想いを感動プロダクトとして完成させたが、もともとアイデアを持って会社を辞めたのか、辞めることを決めてからアイデアが出たのか。また、遭遇した困難をどう乗り越えたか。

株式会社チカク 梶原さん

<梶原> アイデアの種は辞める前から持っていた。
新卒で入ったAppleJapanを辞めてしばらくは、自意識過剰でクールなものを作らなきゃと思っていた。が、何も生み出せずに1年が経ち、左脳的な様々なものを取っ払った時、カッコよくない!と否定してきた『まごチャンネル』だなと確信した。

苦労したのは、一緒に創る仲間を見つけること。
このプロダクトに共感を得られるのは、パパママ。
女性の方が圧倒的に共感は得られるのだが、往々にしてリテラシーが低いため、エンジニア探しとしては難があった。かといってプロダクトに共感してくれる男性のエンジニアは、逆に「子持ちなのでリスクはとれない」と、開発者としては距離を置かれてしまった。そんなわけでギルドワークスさんに開発をお願いした。ちなみに、男性は女性に比べると共感が薄い。感動してくれたおじいちゃんですら急に「ビジネスモデルは?」「僕は商社にいてね」など、「俺が俺が」と己の話を始めてしまう人が多い。

<北原>→<市谷> 梶原さんの第一印象は?プロダクト自体はどうだったか。

<市谷> ものすごくアツい人。自分たちも相当アツいが、それ以上にあつくるしい人。
良く練られたアイデアのもと作られており、仮説検証はある程度できていたので、一緒により良いプロダクトにしていくことに注力できた。

ギルドワークス株式会社 市谷さん

<北原> クラウドファウンディング(以下クラウド)の立場で見ていると、大企業のプロダクトは特許などテクニカルなことを押し出して技術ファーストになってしまいがち。ユーザーが置いてけぼりになってしまうケースがある。ユーザーは、特許とか技術にはあまり興味がないようで、「おじいちゃんの瞳孔が開く」のようなユーザー体験が大事であり、そうして共感できるものがクラウドで支持を得やすいものと感じる。

<北原>→<中村> ハッカソンにもともと興味があったか?ハッカソンは社内に受け入れられると踏んでいたか? 中村 ハッカソン自体には興味がなかったし、自身も未経験だった。 一言で言えば、「勘」でしかない。なんだかおもしろそうだ、という可能性を感じた。社内に受け入れられるかどうかすら気にしておらず、ビビらしてやろうかくらいの気持ちでいた。

<北原>→<中村> ハッカソンのことを、ハーレーダビッドソン?という上司をどうやって説得したのか?

<中村> 特に説得はしていない。仮に説得していると半年はかかることがわかっていたので、自分がやると決めただけ。途中で誰だ!って怒られるのは覚悟の上。プレスリリースを出せば、経営層の方に情報が上がって行く。実は上の経営層ほど「何か変えなきゃ」と思っているので、こうした試みには好意的なものである。経営層がいいねと認めると、中間層は途端に「俺もそう思ってたんだよ」と言い出すので、そうなればもう大丈夫。
大手でやるコツはここにある。

<北原> 大企業は、どうしても経営の効率性、安定性を求めて冒険しない。どこかで成功事例が出ると右へならえで流行るが、第一人者になる企業がなかなかいないのが現状。そんな中、「自分が責任を持ち、リスクを負う」、と中村さんが腹をくくったことが大きい。

NTT西日本 中村さん

<北原>→<中村> ハッカソン開催でどのような効果があったか。

<中村> 『企業イメージの向上』と『若手の活性化』
お堅い会社というイメージで今や就職先人気ランキング200位にすら入らないくらいになっているが、新しいことにチャレンジできる会社と認知されて、イメージが格段に上がった。
また、新卒は現実を知ると「期待していたものと違う」と辞めてしまうことが多いが、こういう新しい取り組みに希望を感じている様子。新規事業といわずとも、業務改善など何か自分にもアイデアを出して変えたりできる、何かやりたい、そういう機運が若手に高まった。

<北原> 新しいことにチャレンジする人は放課後活動が多く、業務と離れてコソコソやるしかない、という相談を受けることが比較的多い。こうした取り組みからチャレンジングな文化が育っていくというのは、素晴らしいこと。

<中村> これらのプロジェクトは広告宣伝扱いのため、PRとして成り立つよう、やるからには結果をしっかり出すことを求められる。単なるお祭り扱いになってしまうと、3回目はない。事業として成功させないと、こうしたプロジェクトは定着せず、継続できないという厳しさがある。そのため、様々な効果を社内に理解してもらうことが大事になってくる。例えば、すぐに目に見えるサービスの形にならなくても、プロジェクトを通してつながったスタートアップさんが、後日事業にジョインし新しいことが生み出せたということでも十分なことだと。

パネラー

<北原> 目的が明確なハッカソンでなければ、その場限りのものになってしまい、結果が出せず、事業には繋がらないということは、関さんの講演内容の通りだ。では、TBSハックを運営したハックキャンプ側では、どう感じていたか?

<矢吹> TBSハックは100名の多様な参加者、TVやネットの環境、APIもたくさん準備したことで場としては盛り上がった。参加者も楽しんでおり、満足度も高かったことは確か。でも自分も参加者含め、誰も、あそこからプロダクトが生まれるとは思ってはいなかったのも事実。驚いたし、1年後に発表できるとは、本当によくやったなあと思う。

<北原>→<中村> ハッカソンからリリースまでの1年の間に、さぞたくさんのハードルがあったと思うが、どう乗り越えたのか。

<中村> 実はそんなにハードルがあったわけではない。ハードルを回避する方法をとっていたので。というのは自社サービスにすると何重にも品質チェックがあり大変なため、OEM化することでそれを避けることが出来た。それがこのプロダクトを事業化する際のミソである。
ハッカソン後、周囲はお祭りが終わったという認識だったが、自分はこれからが大事であり、絶対に製品化するという想いを持ち続けてプロジェクトを進めてきた。

<北原>→<中村> OEM化すると、そんなに簡単になるものか?

<中村> 本当は、そんなに簡単ではない。きちんとやると色々チェックがあることはある。それをわかっていたので、出すぞと言いふらし、既成事実化してリリースを出してしまった。
もちろんちゃんと最低限のチェックはしたが、多くのチェックをかいくぐったと言える。

<北原> クラウド利用においても、実行者を誰の名義にするかについての相談が実は多い。大企業は、最初は開発会社を前面に出し、自社は後方支援というスタンスをとり、成功事例が一度生まれれば、その後はクラウドもオープンイノベーションも活用していこうとなるもの。まずは小さくても成功事例にしてしまうことが大事。

ハッカソン開催の悩み

<北原>→<会場の参加者> いまハッカソン開催を検討中で、課題、悩みを抱えている方は?(3人挙手)

参加者

<参加者1:Code For関係者> 企業ではなく、市民を対象としたハッカソンの運営や、製品の作り方など、根本から準備方法もわからないままやるだけやってしまったという反省がある。どうしたらよいのか。

<関> 企業主催だと引き取り手がいるが、そうではない場合は運用が難しい。活動母体が成り立っていることが大切。ハッカソンが、まず人を集めるものが目的であれば、次回に誘導することが有用となるし、既に定期的に集まる母体があればプロジェクト化して、定期的にウォッチしていこう、とすればよい。
なお、これは企業の場合も同じだが、最初のハッカソンに来た人だけで最後まで完結しようとするとうまく行かないことが多い。参加者はモチベーションもバラバラなのが普通だから、そのままプロダクト完成まで一貫することはまずないものだ。

参加者

<参加者2:ハッカソン開催経験者> ハッカソンのディレクションすることになるが、審査基準や審査員は、どうしたものか。エンジニアベース、市場ベース、プロダクトベース、ビジネスベースなど色々あるが、どういうコンセプトでやればいいのか。

<関> 主催者側が、どんなものを評価したいと思っているかによる。
ただ、最近、審査員は必要なのかとも思うこともある。
課題の当事者が票を入れたり、ユーザーテストを担う方がいいのではないか。わかってそうでわかっていない偉い人が出てきて審査するよりいいのではないか。(自分も審査員として呼ばれるが)

<中村> 新規事業をいかに通すかという観点からは、偉い人が審査すること=お墨付きになるのでそれはそれで意味がある。大きな会社でやる場合は、数多の中間管理職の障害回避のために大変有効。

<北原> 大企業でいかにボスをまきこむかが重要なのは事実。
自分が所属するサイバーエージェントは、1年に20近く新規事業が立ち上がるほど新規事業に積極的で「事業創造プログラム」がある。そこで社長が「いいね」と言ったりすると、後日、「あの時いいね、って言いましたよね」社長に言ったりして、実際会社を作ったりもするほど。経営層はイノベーションを起こさないと、という課題感が強いので、そこを巻き込むことは大事だし意外とすんなりの場合も。

<北原>→<中村> ハッカソンのその後について、特にその先の事業化については?

<中村> お金かけてる以上、という気概はあるが、終了して2ヶ月くらいすると、周囲には忘れられがち。

<北原>→<中村> 終わった後の参加者のモチベーション維持については?

<中村> 主催者としては、来年につなぐために形にしようと必死。幸い参加者の気持ちが熱いので、自分も頑張れており、FBのメッセンジャーグループや定期的なミーティングで、主催者の本気度をきちんと伝え、モチベーションを維持することを心がけている。

HackCamp 関さん

<関> ハッカソン最終日のプレゼンは一番高揚感があるが、翌日になるとどんどん醒めていく。チームメンバーも別の会社で仕事をしているケースがほとんどなので、集まる機会もないし、企画書にすると途端につまらなくなってしまったり、初期衝動がそのまま続くことは難しい。実際に求めているエンドユーザーがいるのがわかっていても。(その点、Mashup Awardsは、コンテストを1年かけてやるので、この限りではない)
モチベーションを持続するには、ハッカソン後にもう一度集うとか、何かしらのアプローチを企業内でできるような仕掛けが必要。

<北原>→<市谷> ハッカソンでアイデアが誕生した後、事業化にするに際し、事業立ち上げノウハウとして大切な仮説検証を行う上でのポイントは?

ギルドワークス株式会社 市谷さん

<市谷> 「きもち」。紙1枚、たとえ1行のアイデアでも仮説検証をやって行く自信はある。でもその1行にどれだけの想いがこもっているか。それがその後続けられるかを左右する。その点、梶原さんは、想いがすごかった。

<北原> まさにクラウド利用でも同じで、「想いを発信していく」場なので、実行者がしっかり仮説検証して想いがのっていればのっているほどMAKUAKEとしても全力で伝えることが出来るもの。
ふと今日の話を振り返ると、しっかりした想いがあれば、ハッカソンの開催から、アイデアへのモチベーションにつながり、仮説検証につながり、クラウドで共感を集めるところまで、一気通貫、「想い」が線でつながっている。

<北原>→<梶原> クラウドのMAKUAKEを使ってみて、気づいたこととは?

<梶原> 自分の持っている仮説が、もう少し大きなスケールでも間違っていなかったことがわかったことと、想定していなかったようなリアクションがあったこと。
例えば、リテラシーが高い人は『まごチャンネル』に興味を持たないだろうと思っていたが、意外とそうでもなく、実際は男性でリテラシーが高い人も欲しいと言ってくれる。
前職でメディアに対する知見はあったが、様々なメディアにとりあげられ、メディアの立場から見てどんなものに見えるのかを知ることができた。

<北原> 仮説検証でおもしろかったのは、シニア向けと思いきや、自分の親に贈るというパパママ世代の反応がデータでも裏付けられ、親孝行のためのプレゼントというアプローチの仕方としてアリだなと知ることができたのが勉強になった。同時に、クラウドはネット上のサービスなので、シニア層へのリーチはまだまだこれからと実感した。

<北原>→<梶原> もともとは誰向けのつもりだった?

<梶原> もともとはママさん向けを想定していたため、あえて書いていないのだけれど、男性からは「もっとスペック書け」とお叱りを受けたことがあった。(家庭内でママはパパに相談するだろうから当然ではある)

質疑応答:Q1

<富士ゼロックスさん> 外でのオープンイノベーションの話はすごいスピードで進むが、社内に戻った時、知財の点で引っかかることがあって困っている。そもそも「共創」やイノベーションを法務や知財の人は考えたことがない。そのため契約だけで2か月費やしたりしてしま。う。クリアするにはどうしたらよいのか。

<関> アイデアソンで一般的に使われている規約があるので参考にするとよい。何にせよ、ちゃんと事前に参加者に説明がなされて、サインしてくれていれば、つまり納得してくれていればOK。ただ、企業側に有利にという意図が垣間見えたら、誰も納得はしないのは当然。

質疑応答

<参加者Sさん(前大阪市職員)> 規約にサインしてもらってからエントリーしてもらうようにしていたが、とりあえずリスクがあるから企業側に有利に、なんてやってると、納得してもらえず参加者が集まらない可能性もある。
前述の有名な規約フォーマットの最新版では、権利者が参加者のチーム全員でどうするか決めることになっており、自分たちが知財として登録した場合は、イベント終了から7日以内に主催者に申し出るようになっている。が、個人で知財の登録をするには費用も手間もかかるし、全員に了解を得ることが難しいため、実際はまずそういった事例は発生しないと思われる。

質疑応答

質疑応答:Q2

主催の意図とは関係なく、「楽しむハッカソン」の方がいいアウトプットになることがあるが、参加者に求める資質とは?
参加者のパフォーマンスを上げるために必要なこととは?

<関> 資質としては、課題になるべく詳しい人、その後も関わりたいと思うような属性の人が多い方が良いアウトプットにつながる。例えばFashon Hackは、エンジニアを1/3に抑え、ファッション大好きな人を多めに構成したところ、よいハッカソンになった。
パフォーマンスを上げるために強く意識しているのは、メンターの存在。スキルがあることはもちろん、考え方や人の創造性を高めるような人を見逃さずに、参加者ではなくメンターとして参加するようお金を払って依頼している。

クロージング

それぞれに独自の視点とリアルな体験を持つ5人が並び、時に考え込み、時に反論が飛び出し、時に大爆笑。(ここには書けないような)ここだけの話も飛び出しました。終始リラックス且つ熱を帯びた空気の中、会場からも熱心な深堀した質問が飛びました。当事者であるパネリストの皆さんそれぞれが(時により詳しい会場の参加者が)、現実に即した具体的な回答をすることで、納得性の高いディスカッションと質疑応答になったようです。

クロージング

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