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2015/11/24 発火ワークスイベント【前半】

「ハッカソンのその先へ。組織の枠を越えた感動プロダクトの作り方」

    Agenda

発火ワークス始動

2015年11月24日、株式会社HackCampとギルドワークス株式会社が、新サービス「発火ワークス」を立ち上げました。 サービス発表を記念した講演会と「ハッカソンのその先へ。プロトタイプから製品化を実現させるには」をテーマに掲げたパネルディスカッションには、新規事業に様々な立場で関わりを持つ3名の方にご登壇頂き、我々の代表2名もお話しさせていただきました。

この場が既に仮説検証

2015/11/24 発火ワークス発表イベント【前半】

「今日のイベント自体が、仮説検証の一環なんです」という声に思わず笑いが漏れる。 今までこんなサービス発表会があったでしょうか。

オープニング

  • NTT西日本  ビジネスデザイン推進課長 中村正敏様
  • 株式会社チカク 代表取締役 梶原健司様
  • 株式会社サイバーエージェントクラウドファンディング(MAKUAKE)  北原 成憲様
  • 株式会社HackCamp 代表取締役  関 治之
  • ギルドワークス株式会社 代表取締役 市谷 聡啓

(写真右より)

オープニング オープニング

冒頭、HackCamp矢吹より、数々のハッカソンを開催しながらも一過性のお祭りに終わってしまうことにジレンマを感じていたこと、今までのハッカソンや『発火ワークス』が提唱するこれから=ハッカソン3.0に関する問題提起など、このサービス立ち上げに至った経緯をお伝えする中で、早速「仮説検証」の言葉が飛び出します。果たして、このサービスはどう評価されるのでしょうか。

オープンイノベーションの取り組み <NTT西日本 中村さん>

NTT西日本 中村さん

講演は『オープンイノベーションの取り組み』と題してNTT西日本の中村さんから始まりました。スマート光戦略を進めるにあたり直面した、新規事業開発がレギュレーションなど大企業ならではの制約で遅々として進まない問題、既存企業ネットワークで新規事業を起こすには限界があるという現実。そしてそれらをクリアするために始めたオープンイノベーションの3つのプロジェクトについて「大手」という立場からお話しいただきました。

2014年に開催された『TBS TV HACKDAY』は、通信会社とテレビ局がコラボレーションする形式での初めてのハッカソンとして大きな話題となり、2015年にも第2回が開催されました。 ロケ弁を食べることが目的だったエンジニアではない人達のアイデアから生まれたものが優秀賞の一つという裏話は、アイデアソン&ハッカソン参加者には多様性が必要であることを強く印象付けます。

『コトの共創ラボ』は、大企業とスタートアップ企業や、普段出逢うことのないバックグラウンドの人たちによる「共創型事業開発」実現を加速させる取り組みです。森永製菓×NTT西日本で開催されたワークショップでは、ウィダーインゼリー開発者とエンジニアのアイデアから新商品の開発が進んでいるとのこと。 それらを経てこの夏にリリースされた『Startup Factory』は、せっかくの取り組みが頓挫してしまわないよう、アイデア創出・事業性評価・事業化支援の3つのフェーズを一貫してサポートするというものです。

これらのプロジェクト誕生は、2014年の『TBS TV HACK DAY』開催から、その優秀賞「らくがきTV」を2015年10月2日にリリース=事業化したという一貫した自社の経験に裏打ちされています。これらをたった1年の間に推し進めてきたスピード感は、もはや今までのいわゆる大企業のイメージを覆すものでした。なぜそれが可能だったのか。どうやって可能にしてきたのか。後半のパネルディスカッションに期待です。

サイバーエージェントクラウドファウンディング <MAKUAKE 北原さん>

MAKUAKE 北原さん

続いては、サイバーエージェントクラウドファンディング『MAKUAKE』の北原さんです。 実行者の想いを支援者に伝えることから、作り手とユーザーとの共創が始まる、それがクラウドファウンディングであると語る北原さんは、クラウドファンディングを活用したマーケティングのプロ。 一般的にはプロジェクト実行のための資金調達方法と認識されていますが、マーケティング的に活用できるとはどのようなことなのでしょうか。

MAKUAKEにて「先行予約販売」を行った場合の資金調達以外のメリットは非常に大きなものでした。テストマーケティング(→金融機関・流通側への実績提示データとなる)、購入ユーザーへのヒアリング、メディア掲載によるPR、販路増による新規顧客獲得、など、本格展開へ向けた試金石が実現できるとのこと。とりわけ実際にユーザーヒアリングができることは、リーンスタートアップにおいて、大変重要なポイントです。

具体的な事例も紹介されました。

FES Watch
本当にニーズがあるのか社内で疑問視されていたが、多くの資金が集まったことが実績データとなり、事業継続判断につながった。
Qrio Smart Lock
ユーザーからのもっとこんな仕様にしたら、こんな機能が欲しい、などの声を反映させた共創の好例。
Siphon
クラウドファウンディングによってオシャレなLED電球が生み出されるということがメディアに続々取り上げられPR効果抜群。

最後に、マーケティング活用の可能性を秘めたクラウドファウンディングのプラットフォームとして、MAKUAKEが持つ強みについて。まず、オリジナル分析ツールである『MAKUAKE Analytics 』では、プロジェクトの進捗・購入者の属性・購入者のアクション経路が確認できます。テストマーケティングにおいて欠かすことのできない要素です。また、サイバーエージェントグループであることから、Amebaとの連携を含めたPRの力はとても大きなもの。さらに、伊勢丹新宿本店に常設されたプロジェクト展示スペースで実際のプロダクトをPRできることも大きな強みです。ちなみに百貨店でのクラウドファウンディングの商品展示は日本初となっています。北原さんからも、「想いを伝えること」「共創」という言葉があったのが印象的です。

株式会社チカク <代表取締役 梶原健司さん>

株式会社チカク 代表取締役 梶原健司さん

3人目は、「スタートアップ」である株式会社チカクの代表取締役、梶原健司さんのプレゼンテーションです。

会社名であるチカクとは、「近くする&知覚する」のダブルミーニングであり、会社のミッションは「距離も時間も超えて、大切な人と繋がれる世界を創る。」だと語る梶原さんは、とてもアツい方のようです。自己&自社紹介に続き、自社プロダクト『まごチャンネル』に関して、アイデアをどうやって形にしていったのか?想定外の困難をどう乗り越えたのか?という内容でお話頂きました。

ご出身が遠方であるため、お子さんの写真や動画を地元のご両親に見せるのは簡単ではなかったという梶原さん。自分自身がAPIになれば可能ではあったが、もっとなんとかできないか。自分の家庭だけでなく、世の多くのおじいちゃんおばあちゃんを簡単に喜ばせられたらいいのに。そんな個人的な想いが『まごチャンネル』の始まりでした。

開発を始め、人づてにモニターを募り、「根源的で強い衝動を発見すること」を顧客開発で重視していた梶原さんは、アンケートをとるのではなく顔を合わせたいとデモを見せに行きました。デジタルフォトフレームを活用していると話すモニターのおじいちゃんおばあちゃんの反応は至ってクール。でもお孫さんのデータを仕込んで『まごチャンネル』お見せした途端、「瞳孔が開くほど」の変わりようで驚き喜び、「これはいくらなのか?」とプロトタイプにお金を出そうとしてくれた。

この体験が、ますますこのプロダクトへの想いを強くさせました。しかし待っていたのは数々の困難。アイデアはあるし、ニーズも確認できた、ブレない強い想いもある。でも、フルコミットの人がいない。お金もない。だから開発が遅々として進まない。

そこで外部の会社と協力するという英断を下し、まだ仮説検証の段階で仕様すら固まっていないのにギルドワークスに開発を依頼したところ、足りないリソースをヒアリングし、検証から進捗管理も含めて進めてくれて無事にプロダクトが完成。

もう一つの課題である資金不足は、なるべく様々なところからお金と意見を集めるべくクラウドファウンディングを活用。ただ資金を集められるだけでなく、こちらの熱や想いに共鳴してくれるひとが集まってくれることも大切なポイントでした。MAKUAKEさんにお願いしたところ、多くのメディアにも取り上げてもらえて資金が集まり、来春の出荷を目指しているのが現状とのこと。

個人的な想いからスタートし、足りない部分は外部の力を上手に活用して共に創ってきた梶原さんの話、そして「スマホで撮った子どもの動画と写真が、そのまま実家のテレビへ。」をコンセプトとするプロダクト『まごチャンネル』そのものが、オープンイノベーションを体現する一つのモデルケースといえるでしょう。

HackCamp <代表 関さん>

HackCamp 代表 関さん

次に「ハッカソン運営」HackCamp代表の関が登壇です。

2010年4月に初めてハッカソンイベントを開催してみたら申し込みが8人、しかも開催日を間違えて告知していたという、自身のハッカソン運営ビギナー時代の話から始まりました。それから5年、今では1年に40回を超えるハッカソンを開催、運営している関ならではの「事業化に結び付くハッカソンに大切な3つのこと」がテーマです。(あくまでも「楽しむ」ためのハッカソンは別という前提)

1つ目に「本気の主催者」が挙げられました。時に出逢う残念な例として「ハッカソンをやることが目的化している」というケースが。そもそも1日2日のハッカソンで即新規事業が生まれるはずがなく、その後のプロセス、ハッカソンの後に何をやるかが重要であると断言します。主催者がハッカソンの後に何を目指しているかが答えられない場合は、お受けしていないという実情も。それは、ハッカソンのやり方でどうにかなるものではなく、本気で事業化するつもりがなければうまくいかない、ということが明白だからです。

2つ目の大切なポイントは「多様な参加者」。しかもなるべく課題の当事者が参加している方が、ニーズに即したプロトタイプが生まれて事業化しやすいため、アイデアソン&ハッカソンの設計段階から留意しているとのこと。
同時に、多様な人が集まると、偏りが出たり話がかみ合わないことが往々にして起こり得るため、多様な人から様々なアイデアをフラットに引き出し、その中から選りすぐったアイデアをカタチにするための工夫が随所に施されています。スピードストーミング・アイデアスケッチ、ハイライト法など、今ではアイデアソンのスタンダードとなった手法などの他、マンダラート、カスタマージャーニーマップ、6観点カード、ブレインライティング、智慧カード、フューチャーランゲージ、ペルソナ設定やタッチ&トライなど。これらのツールをクライアントの狙いや、参加者のスキルレベル、課題に対する知識の豊富さなどを鑑みて使い分け、より適切な手法がないか新たなものを試してもいます。

3つ目は「適切なテーマ設定」ですが、これは主催者の狙いと参加者の創造性、両方を汲む必要があります。主催者には狙いがありますが、参加者の重視することは必ずしもそれと一致していないことが多い。では「良いテーマ」とは何か。「参加者の創造性を損ねず、主催者の目的を達成する」ですが、落としどころが難しいため、クライアントと一番時間をかけて話すポイントだとのこと。主催者と参加者が共に満足するテーマにしなければ、良いアイデアとプロトタイプは生まれず、ひいては事業化には結びつかない結果となるからです。

過去に行われた好例として、WebRTC、FASHION HACK、先生発!ハッカソン、CO-SUGIthonが挙げられました。説得力ある関のプレゼンテーションに頷く姿があちこちで見られました。

ギルドワークス株式会社 <代表 市谷さん>

ギルドワークス株式会社
              代表 市谷さん

最後に、「開発支援」の立場としてギルドワークス代表の市谷より「正しいものを正しくつくる」という社のミッションについて。

設立から2年に満たないギルドワークスは、仮説検証型のサービス企画開発(価値探索型)、現場改善&組織改善を行うコーチを業務内容としており、現在の社員は9名のみ。 年間80本の企画開発及びコーチを行う際には、案件や企画開発に応じて、全国のギルドメンバーおよそ100名の中からスキルや適性により都度手を組んでチームを結成し、「適時的チーム」という形をとっています。その多様なメンバーが烏合の衆にならないよう掲げているのが、「正しいものを、正しくつくる」という大事なミッション。

そもそもギルドの始まりは「技術者による課題解決で世界の風景が変わる様を見たい」という想いを抱いていた市谷が、課題解決に当たってきた結果、適時的チームが最適だったことだと語ります。ここで言う「正しいもの」とは、ユーザーに必要とされるもののこと。そもそも正しいものを探すことができなければ、いくらアジャイル開発などの手法を用いたところで、正しいものを作ることはできません。
また、正しいものを作るには、課題解決の手段が幅広く求められるため、それぞれに必要なスキルを持ったメンバーで適時適チームを作ることが必須となります。さらにギルドメンバーには、技能だけではなく価値観が求められます。アジャイル開発における5つの価値だけでなく、役割や組織に縛られず、前例にとらわれないで、乗り越えて踏み越えてゆく「越境」の価値観なしには、想いを共にして共創することはできないからです。

続いての個別事例では、まず前述、チカクのプロダクト『まごチャンネル』のケースが紹介されました。iOS、Android、管理側と3つの開発が必須のため、それぞれの技能に明るいメンバーによりチーム編成をする必要があったとのこと。
人材サービス系アプリでは、求職者と求人のマッチングにおいて、従来の区エリアや沿線だけではなく、駅の東口か西口かなど細かく絞り込んで検索できる、ユーザーの隠れたニーズに応える新しい探し方を開発。一方では顧客開発で用いるビジネスモデル・キャンバスそのものをグループウェアのサービスとして開発しリリースするなど、多岐に渡ります。
また、開発現場コーチングの事例としては「サイバーエージェント」様にて、徹底したヒアリングと振り返りにより、チーム内のコミュニケーションが改善、業務と状況の見える化と共有によりチームとして助け合うことができ、結果、残業時間が半減したとのこと。

こうした様々なケースを通して浮き彫りになった共通する課題から一つの仮説を立てたのが、発火ワークス立ち上げのきっかけ。
アイデアを持ちながらも、タレントの不足、開発チームの不在、企画を練るリソースが割けない、ノウハウもないという状況は、スタートアップにも事業会社にも共通するのではないか。ならば、私たちが開発チームとなり、タレントを揃え、企画自体もアイデアを練り上げるところから、一緒に創って行けば良いのではないか。そうすれば前進するプロダクトと思いをもっと増やせるはずだ。このオープンイノベーションのサービスは、我々が描く「技術者による課題解決で世界の風景が変わる様」の実現へ繋がるという確信がありました。その中で、アイデアを練る=価値探索=仮説検証の部分をより確かなものにするため、仮説を出す部分を得意とするHackCampと手を携えることが最適だと考えたのは自然な流れでした。

単なる受託開発ではなく、アイデアから共に創る。それがギルドの強みであり、想いを大切にするギルドたる所以です。12月21日には「価値探索 × プロダクト開発 -ギルドワークス事例発表-」が開催されるという告知にも皆さん興味をそそられたようでした。

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